「どうでもいい」


 そう言い切ったキミ。


■ キミは僕を ■


 僕の中のノアに対して初めて言葉ーなにかーを言ってくれたのがキミだった。

「オレの知ったことじゃねぇんだよ」

 そう聞いた時、心臓が高鳴った気がした。
 ノアなんて関係ないと。
 己ーおのーが道を、あるがままに生きるだけ。
 全ての現実ーいまーを知り、踏み越えて行くのだと。
 そう言っているような気がして、不覚にも泣きそうな気分になった。
 嬉しすぎて。
 己に対して彼だけはいつまでも変わらないのだろう。どんな事になろうとも。現状に対して的確な判断を下してくれる。
 どんな結果が待っていようとも、最善の策を。

「どうでもいい」

 じっと見つめれば、冷やかな蒼が向けられる。その蒼は生きざまを示しているように冷たい。
 その冷たさが、僕には救世主ーメシアーのように見えた。

 でも。

 キミが優しい事も知っている。
 その冷たい蒼は己の道の為に捨ててきたモノを真っ直ぐ見つめてきた、悲しい蒼でもあるから。

 僕もその優しさに、甘えてもいいですか。
 キミが気付かないように、死にゆくつもりだけれども。

 もし、もしもの日が来た時には。


 キミなら、

 キミなら僕を

 殺してくれますか?



END......



■□ コメント ■□


第170夜を見直して思いついた小説(SS?)



08.09.26 冰魔 悟