□■ 誰もいない場所で ■□


「ぁっ・・・・やぁっ」

明かりのない廊下に甘い声が小さく響く。
廊下の端から差し込む月夜の光に浮びあがる二つの影。
漆黒の青年ー神田が、真っ白な少年ーアレンを壁に後ろから押しつけていた。

「神田っこんなところで・・・・・やっ」

抵抗しようと後ろ手に延ばされたアレンの腕を、神田は軽々と片手でひとまとめすると後ろで拘束する。
真っ白な髪の間から見え隠れする白い肌に吸い寄せられるように口づければ、華奢な体がびくりとはねた。

「ぁ、や・・・」

何をされるか理解したアレンが身をよじるが、神田は気にすることなく首筋を緩く吸い上げる。
わざと音をたてて襟元から離れれば、吸いついた場所に赤い花が咲いていた。
白い肌に赤がとても映える。
神田は満足げに見ると、その赤い花の場所からアレンの肌をゆっくりと舐めた。

「ちょ、神田っ!そんな所につけないでって、いつも言ってるじゃないですーっつ!!」

非難しながらできる限り視線を後ろに向けた所でアレンは思わず息をのんだ。
見ほれるほど整った顔立ちである神田の唇から出る紅い舌が、肌の上を意志を持って這うその情景は淫らで。その蒼い瞳の奥には欲が揺らいでいて、アレンは生唾を飲み込んだ。
こんなところでスルなんて!、と思う意識さえ神田によって欲に変えられて行く。
息を弾ませ始めたアレンに対し、神田は薄く笑みを浮かべた。そしてアレンを更なる欲の波へと押し流すために、アレンの服に手を掛けた。
アレンの腕を拘束したままに首筋に、舌を這わせながら空いている手でシャツのボタンを外そうとすると、自然とアレンを壁に押し付け神田が後ろから覆いかぶさるような体制となった。キツイ体制にアレンは苦しげに息をつめる。しかしそんなアレンに気づいていても神田が止まることはない。
神田の長い指がシャツへと伸びた時、不意にその指が動きを止める。

「ちっ」

舌打ちの原因は今の無理な体制にあった。壁にアレンを押し付けているため上半身が壁と密接していて、指が入り込む隙間さえなかったのだ。
神田が動きを止めたのをチャンスと、身をよじった瞬間あらぬ所を撫でられアレンは身を固めた。意図を持った手の動きに、ぞくりと快楽が走る。

「かん、だぁっ…」

本当にここでするつもりなのだと実感させられるような神田の手の動きに、自然とアレンの声が震える。
首筋を這っていた舌がすうっと上に上がって行き、ねっとりと耳を舐めた。

「観念するんだな」

神田が耳に吐息を掛けるように、少し笑いを含みながら送り込めば、面白いくらいアレンの体が跳ねる。
カチャリとわざと音をたててベルトを外そうとすれば、白い体が震える。まるで先の快楽を思い出したように。
チャックまで外してやれば、支えを失ったズボンが重力に逆らうことなくアレンの足を落ち、白い足が露わになる。無理にズボンを下ろそうとしないのは、アレンの恥心を刺激するため。そうすれば今まで以上に頬を紅く染めて、先の行為に溺れるのが早くなるのだ。
ゆっくりと落ちて行ったズボンが床につくと同時に、神田の掌が布越しにアレンのソレを捉え優しく弄り始めれば手の中でビクリと反応を返して先走りが布の一部を変色させた。

「や、そんなっ!着けたままなんてっ!神田っ!」

怯えたようなアレンの声に神田は喉の奥で笑うと、布の中に手を入り込ませ、直接アレンのソレを握りこんだ。先走りで軽く湿り硬度を持ったソレは、アレンが流され始めていることを示していて、神田は薄く笑う。

「着けてなければいいんだな?」
「そんな―ぁっ!!」

意地悪な神田の言葉に対し反論しようと開いたアレンの口から洩れた声は、下半身を隠していた最後の布が下に下げられると同時に、甘い音となり消えてゆく。
神田の指がアレンの敏感な所を時には強く、時には触れるように触られてしまえばアレンにはどうにもできなくなる。呼吸が乱れ、快楽の波に志向を持て行かれそうだった。
与えられる快楽に膝ががくがくと震えだした時、アレンの腕を拘束していた筈の神田の腕が腹部に回り支えられる形となり、自然とバランスを取ろうとしたアレンの手が、壁に縋りつくように爪を立てた。
体制を整えている間も神田の指は動く事を止めずに、アレンを追い詰め続ける。
先端の敏感な場所に軽く爪を立てられた時、痛いくらいの快楽がアレンの体を駆け抜けた。

「ひぃぁああああぁぁぁぁっ!!」

余りの刺激の強さにアレンの目の前が真っ白に染まる。下半身がゾッとした時にはもう既に遅く、神田の手の中に欲を放っていた。

「ふぁ…はぁはぁ…」

アレンの荒く息をする音が静かな廊下に小さく響く。
開放感にアレンの体はついて行けず膝は完全に笑い、神田の腕がなければ立っている事さえ困難な状態だった。
力なく体をくの字に曲げて、顔を壁に押し付けた。火照った体にひんやりとした壁が気持ちよかった。
そのまま意識がぼんやりしたまま、消えて行きそうになった時。

「こんなトコで膝だけじゃなく、腰まで砕けんなよ?」

少し熱を帯びた神田の吐息が言葉と共に耳に落ちてきた。
そして神田の指が後ろの秘めた所をそっと撫でるとアレンの体はびくりと跳ね、遠退きかけた意識がはっきりと戻ってくる。

「まだ、離してなんてやんねぇよ」

神田は手に付いたままのアレンの放った欲を、秘部の入り口に塗りつけるように指を動かすと体がもどかしげに揺れた。

「あ…かん、だ…焦らさないで…!」

完全に快楽に溺れたアレンの甘い声が神田の耳を刺激する。体が疼くのを感じながら、神田は再びアレンの首筋に唇を落としついばむ様なキスを与えれば、それすら快楽に変え始めたアレンがうっとりとした表情でされるがままになって行く。

「ぁ…」

秘部に神田の指が入り込むと、アレンの口から吐息のような甘い嬌声が漏れた。
なれたように進んでゆく神田の指は、的確にアレンの中を刺激してゆく。先ほどアレンの放った欲が、中でくちくちと淫らな音を奏でた。

「あ、神田!そこっ!!」

神田の指が一番敏感な所に触れた時、壁につけられていたアレンの頭が上がりひどく強い快楽を逃がそうと首を振るが、その仕草にさえ甘い痺れを覚える神田によって容赦なく快楽発生させられる。
ただでさえ快楽に弱くなってしまったアレンが耐えられるはずもなく。一度硬度を失ったアレンのソレが完全に形を取り戻す。

「あ、あぁぁっ、ダメっ!や、イっちゃ…」

また1人で昇りつめかけた時、神田の指が秘部から出て行った。
ずるり、と音がしそうなほど指の出て行く感覚がリアルで、次に与えられる快楽を思い出してしまい、ぎゅっと目をつむった。背後からジッパーの音が聞こえ、アレンは身までも固めてしまう。
秘部に熱い、神田のソレを宛がわれる。

「アレン」

神田がいつもは呼ばないアレンの名を、誘うような声音で呼べばアレンができる限り上半身を捻り後ろを向く。
欲に溺れ淫らな表情のアレンの柔らかそうな唇に、誘われるように唇を押し付ければアレンの口が招き入れるように薄く開く。舌を差し入れれば、当たり前のように絡んでくるアレンの舌。
思考さえ持って行きそうな神田の激しいキスに、アレンが体し力を少し抜いた瞬間。

「ぅん―――――!!」

神田のソレがアレンの中に押し入る。アレンの口から洩れるはずだった悲鳴は神田の中に消えて行った。
初めの大きい場所が入ってしまえば、もう神田の思うがままだった。反射的に力を込められようとも腰を進めれば、アレンの中を暴いてゆけた。ゆっくりと、中の存在を教えるように進んでゆけば、アレンの息が更に速くなる。
じれったさにアレンの腰が無意識に揺れているのを視界に収めて、神田はアレンの動きに合わせて最奥まで一気に突き上げた。

「ひあぁぁぁぁっ!!」

アレンの体が跳ねあがり、離れた唇から悲鳴に似た嬌声が漏れた。

その声に気を良くした神田は、アレンに休息の間を与えることなく動き始める。

「あっ、やぁっ―…っ!そこっ!!」

背面体位は騎乗位までとは行かないが、深いところまで神田に犯される。お互い立ったままなので神田の動きが単調ではなく不規則で、突く場所は毎回違うのにイイ所だけは必ず擦ってゆく動きに完全に翻弄され、アレンは声さえ押さえる事さえできなかった。

「あ、あっ!ぅ…ん…っ!かんだぁ!」
「くっ!そんなに、締め付けんな、よ。そんなにイイのかっ!?」

不規則に神田のソレを締め付けてくる、アレンの内壁。その鋭い快楽に神田は顔をしかめた後、アレンの中を一層深く犯しながら意地悪げに問うた。

「あぁぁっ!かん、だ!深ぃ……嗚呼!かんだが奥までっ!!」
「ーっ!!」

いつもは聞くことのできないアレンの艶めかしい言葉に神田は思わず息をつめ、素直に反応した神田のソレはアレンの中で質量を増した。
その瞬間を最奥で感じたアレンにとってはたまったものではなかった。

「なんでっ!や、おっきく…!あぁぁっ!」
「実況しやがんなよっ!!手加減出来なくなる!くそっ!」

いつもと違う状況下が生んだ淫らな状況に、アレンだけではなく、神田も呑まれて行く。
何時ものような余裕を見出せない神田はアレンの中を激しく暴れまわり、そんな神田の与えられる快楽に完全に呑まれたアレンが無意識に神田をあおる。

「かんだぁっ!もうイっちゃっ!!」
「くっ!アレ、ン!」
「かんだ、かんだぁっ!!」

名を呼び合いながら、神田が最奥を突き上げた瞬間。

「あああぁぁぁぁっ!!!!!」
「くっ」

真っ白な世界へと2人溶け合った。















ベッドにこんもりと出来た白い塊。

「バ神田…このぱっつん」

塊−アレンが悶々と文句を吐き出していた。先ほどの行為の文句である。
落ちていた意識が戻ってきた時には既に神田の部屋にいた。
ぼんやりとした意識のまま辺りを見渡した時、視界の端の止まった漆黒を神田だと理解した時、走馬灯の様に先ほどの恥ずかしい行為を思い出た。己の恥ずかしい行動の数々に耐えられず、真っ白い毛布を頭から被り今に至る。
ベッドに寄り掛かるように床に座り、毛布の上に肘を置いている神田は、アレンを見ながらにやにやと笑う。

「五月蠅い。ヨガってたのはてめえだぜ?悦んでたくせに」
「〜〜〜〜〜〜ばかっ!!!!」

事実を言われたアレン毛布を跳ねのけ、ベッドの端から映える神田の首に抱きついた。
もとはと言えばあんな所で欲情する神田が悪いのだが、その状況と神田に欲情してしまったのは紛れもない事実で。

「もう、あんな所でシないでください…お願いだから」

「誰かに見られたら、死ねる」と神田の首筋に顔を埋めたまま、アレンはぼやくしかなかった。
この男が自分の意見を取り入れてくれるとは、今までの経験から微塵も思ってはいなかったが。

「考えておく」

予想通りの神田の答えにアレンは重々しくため息を吐いた。
そのままぶつぶつと、文句を吐いていると、不意に神田の指が頬に添えられ強制的に肩から外させられる。
少しむっとして、神田を見れば、至極期限の良さそうな蒼の瞳とぶつかった。

「アレン」

まるで機嫌取りのようにも思える、機嫌の良い声音がアレンの鼓膜をくすぐる。
変えた神田の整った顔がゆっくりと近づいて来たのを見て、アレンはゆっくりと瞼を閉じた。
神田から与えられる甘い、甘い口づけ。

「これで流される自分が悔しいですよ…本当に」
「ふん、俺を愛したお前が悪い」
「ばか…」

そうして、甘い甘い時間が幕を開ける。




END.......



■□  こめんと  ■□


初裏は絶対「神アレ」だって決めてたんです!

にしても、ねちっこいですね。神田も、文も。
もう少しいやらしく書きたかったのに…うう、文才ないなぁ。

08.08.27 冰魔 悟




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